小学生での勉強の習慣は中学生以降にも大きく左右します。
中学受験を考えていない場合、小学校高学年、もしくは中学生になってからでも大丈夫と考えている親も多いかもしれません。
小学生のうちに勉強するのが当たり前になっていることは、社会に出てからも自身を助け、人生全体にも好影響を与えます。
小学生から勉強の習慣を身に付ける重要性から、身に付け方のコツ、家庭での学習環境づくりについて解説していきます。
紹介する内容を実践していただき、なるべく早いうちに、子どもの学習習慣の形成を実現しましょう。
小学生のうちに勉強習慣を身に付けることが肝心
小学校で身に付けた学習習慣は生涯を通じて武器となり得ます。
高校受験、大学受験に影響を与えるのはもちろん、社会に出てからも勉強は重要となり、大人になってからも勉強習慣は必要です。
小学校低学年までは、学習習慣による成績差が目立ちにくいですが、勉強内容が本格化する小学3年生からは差が現れやすいです。
小学生のうちに勉強するのが当たり前になっているのは非常に重要です。
それを示すデータが全国学力・学習状況調査の結果で示されています。
小学校6年生と中学3年生を対象とし、学校の授業以外で、月〜金曜日の1日当たりの勉強時間(塾、家庭教師などを含む)について調査が行われました。
小学校6年生で1時間未満の割合は35.3%となり、中学3年生では30.2%と5%程度の向上に留まりました。
高校受験が控える中学3年生の時期になって勉強に力を入れようとしても、小学校で築いた習慣を変えるのは簡単ではありません。
小学校のうちに学習習慣を身に付け、勉強が当たり前になっているのは、想像以上に大きな差なのです。
参考:教育課程研究センター「全国学力・学習状況調査」(平成29年度)
小学生が勉強の習慣を身に付ける5つのコツ
小学生のうちは、親が子どもの学習を管理しつつ、自然に勉強するように導くのが大切です。
長時間、学習させる必要はなく、計画的に子どもが自ら机に向かう習慣の形成が第1目的です。
具体的には、下記の5つのポイントを踏まえて実践してみましょう。
- 学習計画と目標を立てる
- 短時間の勉強を生活習慣に取り込む
- 子どもの主体性を伸ばす
- 学習の過程をほめてあげる
- 子ども自身に先生になってもらう
結果はあまり気にせず、子どもと勉強について日常的に会話し、子どもの考えなどを引き出し、過程を褒めてあげてください。
学習計画と目標を立てる
小学生はまだ自分で計画は立てられませんので、親が一緒に考えてあげましょう。
「2週間後に九九の1〜5の段を覚える」や「次のテストで〜点目指す」といった具体的な目標を設定します。
目標を達成するために、「毎日かけ算の問題を10問解く」といった明確な計画を立てて、実践を繰り返します。
勉強の目標設定から計画、実践までのサイクルの習慣化が鍵です。
まずは難し過ぎない目標を設定し、子どもに達成感を覚えさせ、勉強への意欲を掻き立てることを意識しましょう。
短時間の勉強を生活習慣に取り込む
一度に長時間勉強させようとしても理解しきれず、子どもの集中力が切れやすくなり、勉強が嫌になってしまう恐れがあります。
まずは15分程度の取り組みから始め、毎日机に向かう癖付けを優先しましょう。
子どもが徐々に慣れてきたら、ポモドーロタイマーを使い、メリハリを付けながら勉強させるのがおすすめです。
ポモドーロタイマーは25分の作業時間と5分の休憩を1セットするものです。
子どもの集中力に応じて、初めのうちは作業時間を15分で設定したり、子どもが飽きないようにコントロールしましょう。
子どもの主体性を伸ばす
親が子どもの学習管理をするのは大事ですが、過剰に声を掛け過ぎるのは逆効果です。
あまりに声を掛けられすぎて、やる気を削がれた経験は大人の方でも覚えはあるでしょう。
もし、机に中々自分で向かえないようであれば、声かけに対する子どもの反応を伺ってみてください。
机に向かい始めたらあまり声はかけず、子どものやる気と集中力がどの程度続きそうかを見守るのも自主性を育むのに重要です。
学習の過程をほめてあげる
その場での正解や不正解も大事ではありますが、小学生のうちは結果よりも過程を褒めるべきです。
たとえ不正解の場合でも、学習過程に対して前向きな言葉をかけられると、主体性や計画性、実行力が高くなる傾向にあります。
加えて、結果ではなく過程を褒める方が、子どもの主体性や自己肯定感を高める効果が高いため、褒め方も大切です。
正解したときはどこを頑張れていたか、間違った時でもつまづいた点を一緒に考え、そこまでの過程を褒めてあげましょう。
子ども自身に先生になってもらう
勉強はインプットだけでなく、アウトプット時により頭の中で整理され、理解が深まります。
上手く説明できない箇所、つまり、よく分かっていないところの有無を親は確認できます。
よく分かっていないところは、一緒に学習しながら、最後まで子どもに説明させてあげるのも大事です。
達成感と親に勉強した内容を教えられた経験は、次への学習意欲と勉強内容の記憶を高めるのに効果的です。
通常の目と手の学習に加え、人に教える時は口と耳も利用できるため、より五感が刺激されて記憶へ定着しやすくなります。
日常的に子どもとコミュニケーションを取り、勉強について話すのが当たり前の関係を築きましょう。
小学生の勉強を楽しい時間にする工夫
勉強する習慣を身に付けるためには、習慣作りの工夫も大事ですが、勉強を楽しい時間にしてあげるのも同様に大事です。
以下のポイントを押さえて、子どもが楽しく勉強に取り組める環境を作ってあげましょう。
- 簡単な問題や得意な教科から取り組む
- 子どもに合った学習教材を選ぶ
- 子どもの疑問や悩みに快く応じる
気を付けるべきポイントは難易度の設定、学習教材選び、疑問などを気軽に相談できる環境作りです。それぞれ詳しく解説します。
簡単な問題や得意な教科から取り組む
大人であっても、苦手なことや嫌いなことに取り組む時は気が進まないもので、学習習慣が身につく前の子どもであれば尚更です。
苦手克服を意識するあまり、子どもが苦手な教科や解けない問題からやらせるのは非常に危険です。
「できない」が積み重なり、更に勉強への苦手意識が強まる恐れが高まります。
まずは自力で解けそうな問題、得意科目でも比較的簡単な問題から始め、達成感を積み重ねて、自信を付けさせましょう。
自分だけでできると自信が付き、勉強に対してポジティブな印象を持つきっかけとなります。
子どもに合った学習教材を選ぶ
ゲームや動画視聴で子どもにも身近なスマホやタブレットですが、勉強を身近なものとする学習教材としても利用できます。
学習アプリは子どもが勉強に取り組みやすく工夫しているものが多く、ゲーム感覚で勉強できるため、学習の導入にもピッタリです。
オンライン学習塾であれば、全国有数の講師の授業を自宅で受講でき、質の高い学習も可能です。
電子書籍も現在は充実しているため、いつでも読書ができ、オーディオブックのおかげで読み聞かせも端末ひとつで可能となりました。
子どもの学力、好みに合わせて、様々な学習教材を選択できます。
子どもの疑問や悩みに快く応じる
自分自身で調べながら、自力で答えを導くのは重要ですが、小学生が自力でできることには限りがあります。
子どもの疑問や悩みを聞いたり、勉強のモチベーションを高めるために、対話を繰り返すのは大切です。
1人で抱え込まずに、自分だけでは解決できない時には、周りの力を借りるのは悪くはないと教えてあげましょう。
親子間での信頼関係を築くだけに留まらず、学校でも積極的に質問が出来るようになり、勉強でつまづきにくくなります。
学習時の注意点
習慣作りや、勉強を楽しむための工夫に力を入れると共に、自宅での学習環境作りや子どものメンタルケアも大切です。
子どもの集中力やモチベーション作りのため、日常的に気を付けられるポイントの3つに絞りました。
- 学習環境を整える
- 無理に勉強させない
- 自由な時間や息抜きでメリハリをつける
注意点を踏まえ、快適に学習できる工夫を取り入れてみてください。
学習環境を整える
毎日、集中して学習に取り組むには、勉強がしやすい環境を整える必要があります。
リビングでの学習方法がテレビなどでもよく取り上げられていますが、子ども部屋の方が集中できるかは、子どものタイプ次第です。
1人で黙々と何かに取り組めるタイプは「子ども部屋」、対話しながらの方が手を進めやすい場合は「リビング」が向くため、特性に合わせましょう。
小学生は気が散りやすいため、スマホやゲーム機などの娯楽が視界に入らないようにして、集中できる環境を作りましょう。
娯楽以外にも、部屋が整理整頓されている、椅子や机の高さが適切など、勉強だけに向かえる雰囲気作りも大切です。
無理に勉強させない
子どもが机に中々向かえないからと言って、命令して勉強を強制させるのは、かえって逆効果です。
まずは自主的に勉強を始めるか見守り、「今日はどの教科の勉強するの?」や「何時から勉強する?」と遠回しに促しましょう。
家族で勉強する時間を作り、親が率先して勉強する姿勢を見せ、子どものお手本となるのも有効な手段です。
大人も勉強するのが当たり前なんだと子どもが認識し、生活の一部として勉強に取り組みやすくなります。
自由な時間や息抜きでメリハリをつける
学習計画通りに勉強ができたら、それ以外の時間は自由にさせたり、勉強以外の活動の時間に使いましょう。
やるべきことをやったら、遊んでもいいという明確な勉強へのモチベーション作りにもなります。
好きなゲームをしたり、友達との遊びを通じても、「主体性」や「問題解決力」なども勉強に生かせる能力が得られます。
様々な経験をさせることで、好奇心や知識欲を刺激し、何事にも興味を持つ習慣も身に付きます。
勉強以外の時間の使い方を身に付けると、自分の生活にメリハリを付けられる、「自己管理能力」の高い子どもになります。
まとめ:小学生のうちは親からの働きかけが重要
子どもの学習習慣の形成は親からの働きかけが大切で、子どもが机に向かっていくための姿勢や環境作りが鍵です。
強制的に勉強させるのはその場しのぎになったとしても、長い目で見た時に子どもの学習習慣の形成には逆効果です。
親は紹介した方法を実践してもらい、子どもが自然に机へ向かい、勉強が楽しいと感じられる価値観を作ってあげてください。
小学生で身に付いた主体的な学習習慣は、受験だけでなく、社会に出てからも大幅に成長できる武器です。
子どもが自ら人生を豊かにするための力を養えるように、親は一緒に取り組んであげましょう。
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