小学生が勉強をすぐに忘れる原因と記憶に定着させる方法について

子どもが学校で勉強したことを中々覚えられず、覚えたと思ったら数日したら忘れてしまっている。

このような経験のある方は少なくないのではないでしょうか。

覚えられないのは、子どもの才能の問題ではありません。学習方法を変えれば解決できるはずです。

今回は記憶のメカニズムや学習方法のチェックポイントについて解説していますので、子どもの学習方法を見直してみましょう。

そもそも人間は忘れる生き物

子どもがすぐに勉強を忘れることを心配する方も多いかもしれません。

しかし、そもそも人間の記憶はすぐに定着するわけではなく、習ったことは1日で半分以上を忘れてしまいます。

人間の記憶には「短期記憶」と「長期記憶」があり、初めて記憶したものは短期記憶として一次保存されている状態に過ぎません。

約1か月は記憶の保存は不安定なものであり、学習の定着は長期記憶に保存されることで成立します。

まずは長期記憶に至るまでのメカニズムについて解説します。

人間は覚えたことをたった1日で74%忘れる

人が記憶を忘れる時間は「エビングハウスの忘却曲線」によって説明できます。

エビングハウスの忘却曲線とは、ドイツの心理学者カール・エビングハウスが提唱した、復習するタイミングと復習が完了するまでにかかる時間の相関性のグラフです。

研究の中で時間経過に伴う新たな学習を記憶し維持できる割合の推移も示されており、以下の通りとされています。

・1日後…74%忘却
・1週間後…77%忘却
・1か月後…79%忘却

このように24時間経っただけで、新たに勉強したことの7割以上を忘れてしまいます。

1度学習しただけでは、忘れてしまうのは当たり前です。

そこからどのように記憶の定着にさせるかが重要です。

短期記憶と長期記憶

人間が初めて記憶したことは、短期記憶に一次保存される仕組みになっています。

短期期間に保存されている間の記憶は非常にあやふやであり、短期記憶が長期記憶となるまでには、1か月程かかるとされています。

どのように長期記憶に残す記憶を選んでいるかというと、脳にある海馬が重要と判断し、強い信号として送られた情報が保存されます。

したがって、長期記憶として保存されるまでの1か月の間に、勉強内容が重要な情報であることを海馬に認識させることが鍵です。

長期記憶に定着させるには学習法が重要

長期記憶に保存されるには、重要な情報であると脳にある海馬が判断するのが重要です。

重要な情報であると判断させるには、繰り返しの復習が欠かせません。

加えて、忘れるまでの過程を理解した上で適切なタイミングでの復習により、長期記憶に定着できる割合をより高められます。

子どもの学習定着のためにも、記憶のメカニズムを理解して、復習させてあげましょう。

長期記憶に定着させるために気を付けるべきポイント

先ほど解説した通り、長期記憶への定着には適切なタイミングでの復習が最も大切ですが、復習法でその効果をより高められます。

勉強内容への理解、学習習慣の形成、復習方法、子どもの忘れることへの意識など、工夫できるポイントはたくさんあります。

今から、紹介する内容は子どもが家庭学習する際にチェックできるポイントばかりです。

ぜひ、子どもが家庭学習している際に、以下のポイントを押さえられているか一緒に確認してあげましょう。

覚えるだけになっていないか

子どもが勉強した内容を中々覚えられない場合は、まず勉強した内容の意味が理解できているかを確認してみましょう。

例えば、九九をその場ではスラスラ言えたのにすぐに忘れてしまうのは、そもそもかけ算の意味が理解できていない場合があります。

脳は物事を名前や答えのみで覚えるのは難しく、意義を含めて覚えておくと記憶に定着しやすくなります。

勉強は覚えるものと捉えてしまっている子供は、勉強が嫌い、あるいは苦手と感じている場合が多いです。

勉強は理解するものなのだと意識を変えてあげると、結果的に覚えやすくなり、苦手意識をなくせるかもしれません。

勉強した内容の理解を大事にし、合わせて勉強した内容を問題集や日々の会話でアウトプットさせる機会を作るのも大切です。

経験に伴う記憶を「エピソード記憶」といい、長く覚える傾向があります。

日常の中で、子どもの勉強内容の理解とアウトプットできる機会を積極的に作ってあげましょう。

24時間以内に復習しているか

エビングハウスの研究では1日で覚えた内容の74%を忘れてしまうとされています。

それが1か月後では79%となり、忘れていく割合は時間の経過に伴い緩やかになります。

忘れてしまう割合のほとんどは、学習してから24時間以内であるため、学習した日にまず復習することが非常に大切です。

一般的にエビングハウスの忘却曲線は時間経過により忘れる割合と認識される場合が多いですが、その認識には誤りがあります。

時間経過による忘れる割合とは別に、同じ内容を再び学習する場合はどのくらい時間を節約できるか(節約率)をグラフにしました。

これがエビングハウスの忘却曲線と言われているもので、再学習までの節約率は以下の通りです。

【記憶してから経過した時間と節約率】
20分   ➡ 58%
60分   ➡ 44%
90分   ➡ 35%
1日後  ➡ 34%
2日後  ➡ 27%
6日後  ➡ 25%
31日後 ➡ 21%

エビングハウスは研究材料として「無意味な音節」を利用し、単純な暗記での節約率の数字として表れています。

先ほど紹介した勉強内容の理解ができている場合は、節約率ももっと高くなるはずです。

時間が経過するにつれ、再学習までの時間も長くなるため、24時間以内のうちでもなるべく早く復習することをおすすめします。

適切なタイミングで復習しているか

24時間以内の復習がまず最も大切ですが、長期記憶に定着させるには複数回の復習も大切です。

では、最適なタイミングとどのぐらいの復習時間が必要なのでしょうか。

カナダのウォータールー大学の「Curve of Forgetting(忘却曲線)」による最適な復習タイミングと時間についての研究結果です。

参考:ウォータールー大学|「Curve of Forgetting(忘却曲線)」

この研究では学習後24時間以内に10分間の復習をすることで、記憶がほぼ100%に引き上げられるとされています。

7日後には5分の復習で再び脳が活性化し、30日後でも2~3分の復習で記憶が蘇ると述べています。

復習を繰り返すことで徐々に短い時間で思い出すことから、段階的に記憶が定着していることがわかります。

復習のタイミングは24時間以内、7日後、1か月後を目安に始めてみましょう。

このサイクルを利用すれば、日々新しい勉強内容が増えていっても、タイミングをずらしながら復習が可能です。

1日に一気ではなく、毎日少しずつ続けているか

1日に忘れてしまう割合はエビングハウスの研究では74%、ウォータールー大学の研究では50〜80%と発表されています。

たとえその日のうちに大量の内容を覚えようとしても、学習したことを全て覚えるのはほぼ不可能なのです。

むしろ、それぞれの学習内容への理解が不十分となり、却ってより忘れやすい状況を作ってしまっているかもしれません。

一度にたくさんの内容を学習するのではなく、単元と量を絞り、その日の学習で理解を深めることを大切にしましょう。

密度の高い学習を毎日積み上げるためにも、親が子どもの学習計画を一緒に考えることが重要です。

類題を何度も解き直しているか

子どもが学習した内容を理解できているなと感じたら、類題を出して記憶できているか確認してあげましょう。

学習内容を理解して覚えていても、類題を解かせると、知っているはずの内容なのになぜか解けない場合があります。

子どもが、答えを思い出すためのキーワードが頭の中に少ない状態で違った切り口で質問されると、起こりやすい現象です。

復習する際には類題をたくさん解かせると、思い出すためのきっかけが増えていきます。

声に出して勉強しているか

音読は目だけでなく、口と耳を利用できるため、黙読の時よりも脳が活性化します。

黙読だと流し読みして、読み飛ばしの原因にもなり、音読は1単語ずつ丁寧に読む意識づけもしやすいです。

音読であれば、子どもが覚えるのに苦戦している箇所も、親が把握しやすいというメリットもあります。

経験記憶として脳により強い印象を残すために声に出して説明させると、より効果的です。

親は日常的に勉強した内容などを子どもに質問してあげましょう。

忘れることに不安を抱かせていないか

あまりにすぐに忘れてしまうために「どうして忘れるの?」と子どもに言いたくなった親もいるのではないでしょうか。

忘れるのはダメなことだと伝えると、学習に対してマイナスイメージを抱くようになります。

それが学習への消極的な姿勢を生んでしまい、学習効率の低下に繋がってしまうかもしれません。

親は子どもが忘れてしまっても、忘れるのは当たり前で悪いことじゃないよと安心させてあげましょう。

その裏で忘れにくくなるような学習計画を考えてあげて、子どもの学習をサポートしてあげましょう。

対策しても、勉強をすぐに忘れてしまう場合は

紹介してきた学習方法を実践しても、どうしても記憶への定着が改善していかない場合、子どもが発達障害の可能性があります。

発達障害にも、注意欠如・多動性障がい(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)、学習障害(LD)、知的障害があります。

医学的には知的障害も発達障害の一種ですが、日本の法律では発達障害と知的障害は分けて区分されています。

発達障害とは別に、短期的に物事を記憶するワーキングメモリ指標(WMI)が生まれつき低い場合もあります。

それぞれの障害に特性があるため、特性に合った教育方法が必要となります。

そのため、まずは障害の有無について確認するようにしましょう。

特性に合わせたサポートを受けることで、子どもの力を伸ばせるでしょう。

まとめ:忘れることを前提に、忘れないための学習計画を立てよう

子どもが勉強した内容を忘れないようになるには、忘れてしまうのが当たり前という前提で学習計画を立てる必要があります。

まず、長期記憶に至るまでのメカニズムを学び、復習の適切なタイミングの把握によって、効果的な学習計画を立てられます。

紹介した学習方法を子どもが実践することで、自然と学習内容の理解が深められます。

結果的に自然と長期記憶に定着し、勉強が新たな学びを得られる、楽しいものに変わっていきます。

こうなると学習の好循環が生まれるため、今回の記事を参考に、好循環のうまれる環境を作ってあげましょう。

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