一般的に偏差値60レベルの学校には有名校と呼ばれるところが多く、受験生にとって基準値となる数字です。
偏差値60ボーダーの真偽は定かではありませんが、目標としている受験生も多いのは確かです。
今回は中学受験における偏差値60について、そのレベルや学校、勉強法について解説していきます。
中学受験を検討されている方や、偏差値アップを目指している方など、ぜひお役立てください。
偏差値とは?
偏差値とは、試験(テスト)を受けたある集団における自身のレベル(位置)を指すものであり、受験において学力を把握する数値として用いられます。
偏差値は25~75までの数値で表され、50が平均値となります。
50よりも上であれば平均以上、下であれば平均以下と判断できるでしょう。
点数や順位に関係なく、集団の中で自分がどの位置にいるのか知ることができる数値です。
偏差値の出し方
偏差値を計算するためには以下の公式を使います。
偏差値=(個人の得点-平均点)÷2+50
例えば、自身の得点が70点で平均点が55点の場合、偏差値は(70-55)÷2+50=57.5となります。
偏差値は平均点が分かれば簡単に求められます。
しかし、個人が全体のデータをすぐに手に入れるのは難しいため、定期的に模試などを受けて、偏差値を把握するのがおすすめです。
中学受験の偏差値60とはどのくらいか?
中学受験における偏差値60とは、受験生全体の約15~20%程といわれています。
40人クラスであれば6番以内、1学年200名であれば30番以内に入れていれば偏差値60レベルと判断できるでしょう。
偏差値60以上の学校を目指すとなると試験問題の難易度は一気に上がり、競い合う受験生のレベルも高くなってきます。
簡単に超えられないボーダーだからこそ、『偏差値60の壁』とも言われるのでしょう。
中学受験の偏差値60の特徴
中学受験の偏差値60とは、平均より上の難関を目指せるかどうかのボーダーラインです。
一般的に中学受験に必要な偏差値は40程度といわれています。
つまり、中学受験における偏差値60とは、かなりハイレベルであるといえるのです。
偏差値40で受験資格があるといわれると、少し低く感じる人もいるかもしれません。
それは、高校や大学受験の偏差値をみる基準で数値を判断しているからでしょう。
高校や大学受験でも偏差値は使われますが、意味合いが中学受験と少し異なります。
ここからは、中学受験における“偏差値60”の特徴について以下の2つを解説します。
- 模試によって偏差値は変わる
- 高校受験の偏差値とは異なる
中学受験における偏差値について正しく理解し、数字に惑わされないようにしましょう。
模試によって偏差値は変わる
偏差値は対象となる集団における自分のレベルを把握できるもので、模試によって数値は変わります。
特に小学生が受ける模試は大きく分けて3種類あります。
- 中学受験する子ども、公立中学に進学する子どもとが入り混じっている模試
- 中学受験を目指して勉強中の子どもが受ける模試
- 中学受験を希望しているがまだ勉強を始めていない子どもが受ける模試
それぞれの模試によって集団が違うため、偏差値も異なるのです。
さらに、模試を実施する塾や会社によっても集団が異なるため、偏差値は変わります。
模試によって偏差値が違うとどの数値を参考にすれば良いか迷う原因にもなるため、なるべく同じレベルの学校を目指す子どもがたくさん受ける模試を選びましょう。
同じ模試を受け続けることで、偏差値や学力の推移も分かりやすくなります。
高校受験の偏差値とは異なる
中学受験の偏差値と高校受験の偏差値は同じ数字でも意味が異なります。
これは、模試のレベルや受験者数が異なる点や各学校の募集人数の違いなどが理由です。
中学受験用の模試は、受験勉強に力を入れているわずかな小学生が母体となり、高校受験用の模試には幅広い学力の中学生が大勢受験します。
つまり、中学受験と高校受験とでは、模試を受ける人数や受験生の学力差に違いが生じ、同じ偏差値60でも意味が違うのです。
また、入試を実施する学校の数や募集人数の違いも、偏差値が異なる理由に挙げられます。
このように、中学受験は少数精鋭のため上位者も偏差値は低めに出やすく、高校受験は学力の幅が広いため、上位者の偏差値は高めに出る傾向があります。
偏差値60前後の中学校
偏差値60前後の中学校にはどのような学校が挙げられるのでしょうか。
学校の偏差値は年によって前後しますが、偏差値60前後をキープしている学校をいくつかピックアップしてご紹介します。
男子校
成城中学校(東京都、私立)
海陽中等教育学校(愛知県、私立)
暁星中学校(東京都、私立)
明治大学付属中野中学校(東京都、私立)
明星中学校(大阪府、私立)
女子校
共立女子中学校(東京都、私立)
香蘭女学校中等科(東京都、私立)
東洋英和女学院中学校(東京都、私立)
神戸海星女子学院(兵庫県、私立)
淑徳与野中学校(埼玉県、私立)
男女共学
神奈川県立相模原中等教育学校(神奈川県、国公立)
国学院大学久我山中学校(東京都、私立)
桐光学園中学校(神奈川県、私立)
東京学芸大学付属小金井中学校(東京都、国立)
青稜中学校(東京都、私立)
須磨学園(兵庫県、私立)
広島大学附属中学校(広島県、国立)
偏差値60を超えるための勉強法
偏差値60を目指すには、相当の時間と膨大な勉強量が求められます。
より効率的で効果的に受験勉強が進められるよう、勉強のコツを5つご紹介します。
- 基礎をしっかりと定着させる
- 勉強すべきところをおさえる
- 苦手は後回しにしない
- 間違えた問題は分析して復習する
- 大人のサポートで勉強濃度をあげる
中学受験には子どもだけでなく大人の協力が必要不可欠です。それぞれの項目を踏まえて勉強に活かしてください。
1.基礎をしっかりと定着させる
中学受験の試験問題には基礎だけでなく応用問題がしばしば出題されます。
応用問題に対応するためには、知識量はもちろんのこと、基礎をしっかりと理解・定着することが大切です。
基礎を正しく理解するには、日頃から丸暗記ではなく本質を正しく理解しながら進めなければなりません。
受験勉強の一環として、定期的に応用問題を解き、できなければ基礎に立ち戻って学びなおすとよいでしょう。
2.勉強すべきところをおさえる
偏差値60以上の学校を目指すのであれば、入試の出題傾向を把握し、勉強すべきところをおさえておきましょう。
中高一貫校と私立の進学校とでは入試問題の出題傾向が大きく違います。
また、出題される問題に特徴がある学校も存在します。
志望する学校によって勉強法が違うため、なるべく早い段階から志望校に特化した勉強ができればより効果的に学習を進められるでしょう。
知識量を増やすことや基礎を定着させることも大切ですが、必要なところのみ集中的に勉強することも中学受験においては重要です。
過去問などを解き出題傾向を把握し、解けなかったところは理解できていない分野であり、勉強すべきところとして効率的に勉強を進めるのがポイントです。
3.苦手は後回しにしない
勉強を進めていくと誰にでも“苦手”は生まれます。
しかし、苦手は少ないに越したことはありません。
偏差値60以上を目指すのであれば、苦手な問題は後回しにせず、克服できるよう積極的に取り組みましょう。
苦手分野は偏差値アップの弊害となります。
問題が解けるようになれば偏差値アップへの近道になるかもしれません。
一方で、試験本番に苦手な問題が出た場合は、後回しにするのがおすすめです。
分からない問題に時間をかけてしまうことで、解ける問題ができなければ点数が稼げません。
本番までに苦手を0にするのが理想ですが、それが難しい場合は少しでも苦手を減らせるように計画的に勉強を進めましょう。
4.間違えた問題は分析して復習する
苦手を克服するためにも必要なことですが、間違えた問題は“なぜ間違えたのか”分析し、必ず復習しましょう。
分析によって間違えた原因がはっきりすれば、それを踏まえてしっかりと復習ができます。
復習によって正しく理解できれば、次から同じ問題で間違えることはなくなるでしょう。
間違えた問題や苦手の分析は、原因を追究し、克服するための解決方法を考える力も育みます。
中学入試で問われる論理的思考や言語化能力も鍛えられるため、普段から復習を習慣づけてください。
5.大人のサポートで勉強濃度をあげる
入試を受けるのは子どもですが、合格のためには大人のサポートが必要です。
特に入試本番までの限られた時間の中で効率的に勉強を進めるには、勉強濃度が重要になります。
子どもが自主的に勉強することは大切ですが、一人で勉強した時の勉強濃度はどうでしょうか。
スマートフォンやタブレット、ゲームなど身近には誘惑となるものがたくさんある中で、小学生が集中力を維持したまま勉強を続けるのは非常に難しいでしょう。
子どもの集中力や勉強濃度を上げるために、近くに大人が居る環境で勉強させるのがおすすめです。
ただし、きちんと勉強しているかをずっと監視するのは、かえってプレッシャーや集中力を削ぐ原因になるため控えてください。
大人の目が届く範囲で勉強させ、遠くから確認してあげれば、メリハリをつけながら密度の濃い勉強時間となるでしょう。
忙しくて子どもの勉強を見る時間が作れない場合などは、塾や家庭教師などプロの力を借りるのも検討してみてください。
偏差値だけで志望校を決めない
偏差値が高い学校だから良い学校とは言い切れません。
学校に通うのは子どもであり、教育方針や学校行事、部活や生徒の雰囲気など、その子に合った学校を選ぶことが大切です。
加えて、大学進学率や将来の選択肢の広さ、通学のしやすさや学費など、偏差値だけでは分からない部分も考慮してください。
中学受験という狭き門を突破して得られたものを無駄にしないよう、あらゆる角度から学校を比較し、志望校を決めましょう。
偏差値はあくまで学力のレベルを表すものであり、合格確率とは異なります。
偏差値60がなければ絶対に受からないという訳でもありません。
志望校決めや入試に向けてのひとつの指標であることを忘れず、子どもの可能性とこれまでの努力を信じて、最後まで一緒に中学受験を乗り越えてください。
まとめ:偏差値が60まで一気に上がらないことを理解してコツコツと勉強を続けよう
中学受験における偏差値60は非常にハイレベルであり、一気に上がるものではありません。
偏差値60の学校を目指すのであれば、合格に向けてコツコツと効果的な勉強を続けてください。
偏差値は数字という目に見てわかるものだからこそ、一喜一憂しがちですが、偏差値がすべてではありません。
合否に関係なく、中学受験に挑戦するという貴重な経験は将来の糧となり、受験を通して得られるものもたくさんあるでしょう。
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