中学受験を突破するには、受験科目で合格点をとらないといけません。
なかでも、算数は基本の受験科目ですが、苦手意識をもつ生徒の多い科目です。
小学校の算数テストは高い点数が取れるのに、中学受験用のテストでは思うような点数が取れないことがあります。
それは小学校で学習する算数と、中学受験の試験に出る算数は、すこし違うものだからです。
中学受験における算数とはどんなものか、小学校で学習する算数と何が違うのか、解説していきます。
中学受験における算数とは
中学受験における算数とは、どんなものなのでしょうか。
大きな特徴が2つあります。
- 点数に差がつきやすい
- 出題範囲が広い
1つずつ説明していきます。
点数に差がつきやすい
算数は、点数に差がつきやすい科目です。
その理由は、問題同士が関連しているためです。
算数は最初の大問でつまづくと、それを利用する次の問題も間違った解答をしてしまうことがあります。
単純な計算ミスでも、続く問題に影響してしまうため、点数差がつきやすい科目といえるのです。
解答の正誤が明確な点も、点数に差がつきやすい理由の1つでしょう。
算数以外の教科である国語や社会は文章や選択形式で解答できるものが多く、いくつか要点の記載があれば加点されます。
算数は、解答がシンプル且つ、数字1つでも違えば誤答になります。
出題範囲が広い
算数は、出題範囲が広いことも特徴です。
小学校で学習した範囲から、それらを応用して解答する問題が出されます。
基本を理解したうえで解く応用問題が出されるので、範囲は容易にここまでとはいえません。
ただ公式を覚えて解く算数ではなく、最適な解法を自分で選び、理論立てて自分の言葉で説明した算数の解答が求められています。
本当に算数ができない?確認してみよう
算数が苦手だと感じる生徒はもちろんいるのですが、彼らは本当に算数ができないのでしょうか。
中学受験の算数は、基本の理解を前提とした問題が出題される、一筋縄ではいかない科目です。
できない、苦手と感じるのには原因があります。
以下の4点を確認し、苦手と感じる原因を探ってみましょう。
- 偏差値に対する認識のズレ
- 問題同士が関連している
- 出題範囲の広さの認識
- 苦手意識のあるなし
ひとつずつ見ていきます。
偏差値に対する認識のズレ
偏差値というと数値だけをみて、自身の能力を判断しがちです。
しかし実際はそのテストを受けた母集団の中で、自身の学力がどれくらいの位置にあるのかを知ることのできる数値です。
偏差値50とは母集団の平均値であり、その平均値と比べることで母集団の中での自身の学力レベルを知ることができます。
気を付けたいのは、中学受験と高校受験では、受験をする母集団が異なります。
公立中学校を卒業する生徒全体が受ける高校受験の偏差値50は、さまざまな学力レベルの生徒が母集団の平均値です。
一方、中学受験をする生徒の偏差値50は、私立中学を受験する学力レベルの生徒が母集団の平均値です。
母集団の性質によって偏差値という数値は変わってきます。
偏差値の数値にとらわれず、自身の位置を知るために利用するようにしましょう。
問題同士が関連している
算数だけ点数が悪いと感じる場合、問題同士が関連することが多々あるためそう感じているのかもしれません。
先述したように、算数は大問をミスすると続く問題に影響がでて、大きく点数を失うことがあります。
これは計算ミスを防いだり、問題をしっかり読みとく癖をつけることで防げます。
苦手な分野の誤答と、計算などのケアレスミスの誤答は区別して対策を考えましょう。
出題範囲の広さの認識
中学受験の算数は、小学校の学習範囲を理解している前提で、その応用問題が出題されます。
学習範囲は有限ですが、応用問題は基本の組み合わせなので無制限ともいえます。
応用問題に苦手意識を持っているのであれば、まずは基本の学習範囲のどれを応用したものなのかを分析する力をつけるべきです。
逆をいえば、応用問題は、基本の学習範囲内の考え方を利用して解くしかありません。
どの解法を利用して解ける問題なのか、基本の学習内容をしっかり理解し、自分の中で整理しておくことが重要です。
苦手意識のある / なし
算数に苦手意識を持つこと自体が、算数ができないと思う原因になっているかもしれません。
なぜ苦手に思うのか原因を見つけ出せば、対策をうてます。
計算が苦手だったり、苦手な単元があったり、文章題を読むことに苦手意識があるのかもしれません。
まずは算数全体が苦手と思わず、苦手な部分だけを克服する対策を試してみましょう。
解ける経験が増えれば、苦手意識もいつの間にか減っているかもしれません。
中学受験における算数に必要な能力
中学受験の算数に特に必要な能力は、おもに3つあります。
- 計算力
- 思考力・応用力
- 苦手意識をなくす
1つずつ解説していきます。
計算力
計算力を上げることは、算数を解く底力を引き上げることになります。
どんなに難しい応用問題で解答の式を導き出せても、最後は計算することになるからです。
また計算力を上げることは、問題を解くスピードと正確性をアップさせ、苦手意識をなくす効果があります。
そのためには、毎日計算に触れることが大切です。
一定時間内に一定量の計算問題を、正確に解くことを毎日心がけましょう。
制限時間内で計算する能力は、日頃の訓練で培われます。
正確に解けるようになったら、スピードアップを目指しましょう。
そうやって解き終わった問題は、自信と達成感を与えてくれるはずです。
思考力・応用力
中学受験では、「比と割合」「図形」「速さ」「特殊算」といった思考力を試される単元が出題されます。
これらは、考え方や解き方のパターンがあります。
練習問題で数をこなす中で、考え方や解き方のパターンに慣れておきましょう。
テストの際に、どの解き方を使用すればいいのか、すぐに引き出せるようにすることが重要です。
苦手意識をなくす
算数に対する苦手意識をなくしておきましょう。
中学受験における算数は、避けては通れない科目です。
ですが、点数差が大きかったり、範囲が広かったりで、苦手意識を持つ生徒も少なくはないでしょう。
最初から算数全体に苦手意識を向けるのではなく、単元ごとに苦手な部分を認識し、ひとつずつ対策を講じることが大切です。
すでに苦手意識を持っていても、問題が解けたときの達成感をくり返せば、算数に対する自信がつきます。
自信がつくことで、苦手意識は軽減していくでしょう。
中学受験における算数の勉強のコツ
中学受験における算数の勉強のコツを5つ挙げました。
- 正答率を上げる
- 3回復習して知識を定着させる
- 苦手な単元を認識する
- 間違えた原因を探す
- まったくわからない問題は分かるところから
1つずつ見ていきましょう。
正答率を上げる
1つ1つつの問題を丁寧に解き、正答率を上げましょう。
正答率を高めることで自信につながり、やる気やモチベーションに良い影響を与えます。
正答率を上げるには、まず計算ミスや問題の読み間違えなどを防ぐことが必要です。
正答率が上がってきたら、スピードを上げて制限時間内で、同じように解けるように練習しましょう。
3回復習して知識を定着させる
人間の記憶は、24時間でおよそ7割を忘れてしまうといわれています。
記憶を定着させるには、学習したその日に1回目の復習をしましょう。
さらに2~3日後に2回目の復習、テストの前日に3回目の復習をします。
復習は重ねるほど記憶が定着しますが、最低3回は復習をする習慣をつけられると良いでしょう。
苦手な単元を認識する
苦手な単元を認識し、克服を目指しましょう。
中学受験の算数では、「比と割合」「図形」「速さ」「特殊算」を中心にいくつかの単元があります。
間違うことが分かっている問題の対策をしない手はありません。
各単元には必ず、考え方や解き方のパターンがあるので、苦手意識をもつ代わりに、克服してしまいましょう。
間違えた原因を探す
間違えたときは、なぜ間違えたのか、その原因を探しましょう。
計算ミスなのか、問題を読み取れていないのか、基本の理解ができていないのか、原因によって対策は違ってきます。
計算ミスであれば検算する習慣をつけ、問題が読み取れていないのであれば多くの文章題に触れ、制限時間内で問題を読み取れるよう学習を進めると良いでしょう。
基本の理解ができていないのであれば、その単元に戻り再度学習します。
このように原因さえわかれば、対策がたてられます。
間違えたときは克服のチャンスだと考え直して、ミスの原因を見つけましょう。
まったくわからない問題は分かるところから
学習を進めると、まったく歯の立たない問題もあるかもしれません。
そんなときは、先生や保護者と解説を読んでみて、分かる部分から理解を深めていきましょう。
複雑に見える問題も、分解すれば基本の学習を利用して解ける応用問題です。
分かったことにするのではなく、分かる部分からひも解いていき、徐々に理解を深めましょう。
中学受験で大切な算数「解ける」経験を増やして自信をつけよう
中学受験において、算数は大切な科目です。
苦手意識をもつ生徒がいるのも事実ですが、正誤が明確な分、理解できていない部分の分かりやすい科目でもあります。
先生や保護者は、前向きになれる言葉をかけて、生徒のモチベーションアップをサポートしてあげてください。
解ける経験が増えれば、算数が苦手だと思っていた生徒も自信を持てるようになるでしょう。
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